個人事業と会社設立どちらで始める?

いち:かなえさん、私にご相談があるとか。
なにかお役に立てることがありましたか?

 

かなえ:以前からお話ししていた独立の件なんです。
資金の目途が立ったのでそろそろかなって考えているんですが、何から始めたらいいのかが分からなくて。

 

い:ついに決めたんですね。
そうですね…、まずは個人事業として事業を行うのか会社を設立するのか、そこから考えていきましょうか。

 

か:個人事業か会社かですか?
えー…と、何を基準にして考えたらいいのでしょう?

 

い:個人事業は所轄税務署に開業届を出せば開始できますので、すぐにでも事業を始めたいという方に向いています。
対称的に会社を設立するには会社法に基づいた設立手続きがありますので、設立には時間も費用も掛かります。
ルールに沿った設立が求められるので会社の方が信用されやすいといわれていますね。

 

か:開業は急いでいませんので、開業したてでもある程度の信用が付いてくるという方がいいです。
多少の手間があっても会社設立の方を選びたくなってしまいますね。

 

い:そうですね、信用を得ることが重要なのは間違いありません。
それではまず会社の説明から始めていきましょうか。
かなえさん、会社の種類ってどのくらいあると思いますか?

か:う~ん、株式会社と有限会社くらいしか思い浮かびません。

い:そうですね、おおむねその通りだと思います。
ではまず株式会社の説明からしましょう。
株式会社とは株式を発行して資金調達をし、運営していく会社形態です。
株式に付属する議決権を行使することによって経営に参加することもできます。
上場することができればより多くの資金を集めることができるので大きな事業がしやすくなります。(※議決権のない株式もあります)

か:株式会社は私にも馴染みがあります。
今働いている会社も株式会社ですし、周りもほとんどが株式会社に勤務していますね。

い:次は有限会社です。
実は有限会社は2006年の会社法施行時に制度が廃止されました。
ですので今は新たに有限会社をつくることはできません。
現在ある有限会社は会社法施行以前に設立されたもので正式名称は特例有限会社といいます。
現在特例有限会社は株式会社と同じ扱いになっています。

か:え?有限会社ってあまり聞かなくなったと思ったらもう作れないんですね。

い:はい、そうなんです。
その代わりといっては何ですが、会社法では持分会社というものが定義されました。
聞きなれないので初めて聞くという方もいらっしゃるかもしれませんね。

か:私は持分会社というのを初めて聞きました。
どのような会社なんですか?

い:持分会社とは、合名会社、合資会社合同会社の総称をいいます。
持分会社のメリットは、会社の持ち主と経営者が同じなので意思を反映しやすくスムーズな経営ができるということ、株式会社のような細かな設立要件がないので設立が比較的容易な上に設立費用が安いということです。
合同会社アメリカのLLC(Limited Liability Company)がモデルになっていますので日本版LLCとも呼ばれています。
アマゾンジャパン合同会社、アップルジャパン合同会社などが有名ですね。
株式会社が一般的な日本の感覚だと世界的企業がなぜ合同会社を選ぶのか疑問に思われるかもしれませんが、株式会社を規定した日本の法律に縛られずに経営ができるということも理由の一つなのではないかと思います。

か:あえて持分会社を選ぶ訳があるんですね。
持分会社それぞれの違いはなんですか?

い:各持分会社の違いは出資者の責任の範囲です。
合名会社は無限責任社員合資会社無限責任社員有限責任社員合同会社は有限社員で経営を行います。
ちなみにここでいう社員とは会社の従業員の事ではなくて出資者の事をいいます。

か:この場合の責任というのはどういう意味になるんでしょう?

い:無限責任社員は会社が負債を負った際に出資した額を超えて個人が全ての負債を負担しなければならないということになります、これは個人事業と同じです。
その点有限責任出資範囲内での返済でよいので、個人で大きな負債をかかえることがなくなります。
有限責任の株式会社や合同会社は万が一会社を潰してしまった場合に再起をするのが比較的容易になるといわれています。

か:有限責任というものがあるなら…、わざわざ無限責任の会社を選ぶ必要はないようにも思えます。

い:一理あります。
でも実は有限責任といっても実際は金融機関から代表取締役が会社の連帯保証人になることを求められることが多いので文字通りにはとらえられないんです。

か:そんなに甘くはないってことですね。
でも無条件での無限責任は怖さもあるし、持分会社を選ぶにしても合名会社や合資会社を選ぶ必然性が私にはないような…。
会社を設立するとしたら株式会社か合同会社かな。
信用を取るならば株式会社、設立費用の安さや手続きの容易さを取るなら合同会社という理解で合ってますか?

い:はい、そう考えていいと思います。
加えて株式会社は持分会社に比べて融資が受けやすいといわれていますので、将来の事業拡大を考えるのでしたら株式会社の方が何かと都合がいいのかもしれませんね。

か:会社を設立するのでしたらぜひ大きくしていきたいと思いますので、株式会社の方に気持ちが向いています。
株式会社の事をもっと教えていただけませんか?

い:はい、もちろんです。
しかし事業状況によっては会社の設立をするよりも個人事業から始めた方がいい場合があります。
株式会社にするメリットとデメリットを確認しながら、株式会社と個人事業を比較して解説していくことにいたしましょう。

はい、もちろんです。
しかし事業状況によっては会社の設立をするよりも個人事業から始めた方がいい場合があります。
株式会社にするメリットとデメリットを確認しながら、株式会社と個人事業を比較して解説していくことにいたしましょう。

 

 

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